コレステロールの代謝
動物ではコレステロールはステロイド合成の出発物質となっているとともに、細胞膜の重要な構成物質である。コレステロールは主に肝臓において、アセチルCoAから生合成される内因性コレステロールと、食餌から取り込まれたものが消化液である胆汁酸と複合体を形成して腸管より吸収される外因性コレステロールとに大別される。体内のコレステロールの20%が内因性で、80%が外因性のものである。
肝臓での内因性コレステロールの生成経路は最終産物のコレステロールによって強力な抑制がかかっているため代謝異常がない限り過剰に産生されることはない。外因性コレステロールはコレステロールを原料に生成される消化液である胆汁と食餌由来のコレステロールが腸管内で抱合して吸収されたものである。吸収されたコレステロールは一部がステロイドホルモンや細胞膜の成分として利用されるが、その大部分は再び胆汁酸となって消化吸収に利用される。胆汁酸は95%から99%が腸管で再吸収されるため、食事から摂られた過剰のコレステロールは容易に排出されない。高脂血症は血中にコレステロールを含む過剰の脂質が存在する状態であるため、血流の悪い部位などには脂質が沈着しやすくなっている。これはアテローム性動脈硬化の原因となるため、高脂血症は治療が必要な重要な疾患なのである。