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動脈硬化とは
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変性LDLとアテローム性動脈硬化
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変性LDLとアテローム性動脈硬化
LDLを構成するコレステロール、リン脂質、脂肪酸、アポ蛋白(アポB)などが酸化的変性を受けたものが酸化LDLである。LDLが酸化変性を受ける際、リン脂質のホスファチジルコリン(PC)がリゾホスファチジルコリン(LPC)に分解される。PCは細胞膜の主要構成要素であるため、大量のLPC生成することになる。このLPCは、マクロファージやリンパ球の走化因子であり、かつ、細胞接着因子の発現を血管内皮細胞に誘導する作用を有している。LDLの表層が活性酸素で酸化変性されると末梢の細胞のLDL受容体に結合するアポBなども変性し、LDLは細胞にコレステロールを渡せなくなって血中を循環し続ける。そして血流の鬱滞するような場所に次々と付着するのである。マクロファージは沈着した酸化LDLを有害物質として認識し取り込んで行くが、集結したマクロファージの一部はその部位で死んで融解する。この時、マクロファージに取り込まれていたLPCが放出され、マクロファージをさらに集結させて血管内皮細胞障害を引き起こすとともに、血管平滑筋細胞を増殖させて動脈硬化を進行させる。これがアテローム性動脈硬化である。高脂血症は血中にLDLが過剰に存在し状態であり、LDLはその量に比例して酸化されている。高脂血症自体が酸化LDLによるアテローム性動脈硬化を加速するのである。これらのことを考えると、ビタミンCなどの抗酸化物質を摂ると動脈硬化が抑制されるように思われるが、比較試験の結果ではこれらの食品の有効性は証明されていない。これは、生体機能は多数の複雑な化学反応系の平衡によって成立しているため、食餌などの一部の要素を変えることではこの平衡を調整することは不可能であることを意味している。一方、食品の保存に関しては、酸化反応は食品中の酸素と酸化物質の反応で説明できるため調整可能である。このため、多くの抗酸化物質で保存剤としての有効性が証明されており、実際に広く使用されている。
糖尿病では血糖値が常に高い状態にある。血中に存在する糖質はメイラード反応によって脂質やタンパク質と結合し終末糖化合物(AGEs:advanced glycation end products)を生成する。糖化LDLは酸化LDL同様にマクロファージによって有害物質として認識されて取り込まれ、動脈硬化を進行させる。このように糖尿病やメタボリックシンドロームは動脈硬化を増悪させる要因となるのである。



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