インスリン抵抗性と動脈硬化
糖尿病やメタボリックシンドロームではその病態の基礎にインスリン抵抗性がある。インスリン抵抗性はインスリンが効きにくくなった状態であり、インスリンの効果が不充分になるため血糖値が持続的に上昇している。インスリンの作用が減弱すると、血液中のブドウ糖がエネルギーとして活用されにくくなるため、生体は脂肪組織から遊離脂肪酸を放出させて、これをエネルギー源としようとする。血中の遊離脂肪酸が増加すると、カイロミクロンやVLDLは分解されてエネルギーとして再利用されにくくなり、高中性脂肪、高VLDL、高LDLの状態、すなわち高脂血症が生じる。同時に、インスリン抵抗性による持続的な高血糖状態は脂質やタンパク質の糖化を誘導するため、様々なAGEsが産生されることになる。前述したようにAGEsは血管内皮細胞に直接反応して内皮細胞の増殖を誘導し、血管の狭小化と硬化を引き起こす。